
明神鼻の秋イベント「月影のお菊」
2019-10-14 (月)
時間:18:00開演(17:30開場)
当日(10/14)は月曜日ですが、体育の日という旗日でお休みです。また満月でもあります。好天を祈っています。是非皆さま、お誘い合わせて明神の丘へお越しください。狂言公演の後は、お菊明神の盆踊りで、お菊とその父の供養をしてあげてください。
当夜は満月とはいえ、街灯のない山道です。懐中電灯など足元を照らす物をご持参ください。履物なども転びにくいものを履いて、安全第一でお越しください。
向日比2丁目の明神鼻に登ると、向日比の港が一望のもとに見える。この明神鼻に御影石づくりの小さな社が松林の中にひっそり建っている。これを地区の人は「お菊明神」と呼んでいる。
昔、向日比にお菊という評判の親孝行な娘がいた。彼女は貧しい漁師の娘であった。
父親は働きのない怠け者で、毎日酒を飲んでは仕事を休むことが多く、そのため家はますます貧乏になってゆくばかりであった。そんな中で、お菊は一生懸命働き、家の手助けもよくしていたが、何かのことで父親と口争いになった。「子供のくせに親に逆らうとは何ごとか」とばかり、父親はお菊を叱りつけ、酒の勢いもあってか果ては縄で縛り付け、海に投げ込むという乱暴な折檻をした。お菊はこの時の乱暴な仕打ちがもとで、間もなく死んでしまった。
村の人たちは、父親の仕打ちを憎んだが、それよりもお菊が可哀そうでならなかった。近所の子守などもよくし、可愛がられていたのであろう。やがて、誰からともなく「お菊の墓を祀ってやろうではないか」ということになり、港の見える岬の上に小さな社を建て、お菊明神として供養を続けてきた。
今も、お菊は豊魚と漁場の安全を護ってくれると信じられ、漁師の信仰は厚く、毎年欠かさず祭りが続けられている。この社の側面には「天保十四年卯天九月吉辰日、氏子中世話人与吉良繁造、清五良」とある。この話も、江戸も末の話であろう。
上記は、河井康夫氏の「玉野の伝説」にあるお菊明神の伝説ですが、地区の古老の話によると、親の身を案じた娘の自殺という説もあるようです。また、「娘を折檻するような、そんな親はどこにもいない」とも言われています。
そこで、私たちは父親の思いに迫ってみようと思いました。
娘を殺したことは事実として取り消せないことであったとしても、私たちは「父親はきっと後悔の念にさいなまれたのではないだろうか?」と思いました。父とお菊明神となった娘の霊との邂逅、そして仲直りの場面を創ることによって、人間の、親子の情愛の深さというものが、この親子にも在ったということにすべきだろうと思いました。地元の人たちによるお菊明神の盆踊りは、不憫な娘を神として祀った当時の村人の思いが、今なお脈々と受け継がれていることの証でもあります。心優しい地域の方々の思いの深さに驚きさえをも禁じえません。私たちは、こうしてお菊と父親の心情や葛藤に思いを馳せ、お菊明神の新たな伝説としての「月影のお菊」を創作しました。
玉野しおさい狂言会の皆さんの熱演も楽しみです。多くの皆様のご来場をお待ちしています。
玉野しおさい狂言会
玉野がかつて塩づくりの里つまり「しおさと」であったことを知る人は、若い世代ではそう多くはありません。玉野市東部の胸上地区にナイカイ塩業㈱という日本有数の製塩業を営む会社があります。そのルーツは、「塩田王」と呼ばれた児島の野﨑武左衛門が山田・胸上地区に開発した東野﨑浜塩田に遡ります。市内で遺跡や遺構など目に見える形で幾つもの製塩の痕跡を残しているのは、今では山田・胸上地区だけですが、実は玉野では、市内の全域で入浜式塩田や枝条架流下式塩田による製塩事業が営まれていました。
私たちは、そんな製塩の町がどうやって今のような形の町に変遷したのか、玉野の歴史・文化・産業・人物などを学び、先人たちの思いに少しでも近づいてみたいと考えました。そのことが玉野に住む人たちの日々の営みをより良くしたいという思いに通じるのではないかと考えたからです。「しおさとまつり」は、玉野の製塩にまつわる歴史・文化・産業・人物などを、狂言という日本古来の伝統芸能によって、笑いながら学び笑いながら伝え、しおさと玉野の様々な物語を語りつぎ、玉野への愛着を深めてもらいたいと願っています。
このような活動を行うことによって玉野市の文化度が上がり、芸術文化で町を明るくしようとする多くの人たちに「玉野はいい町だよね」との意識が芽生え、「玉野に住んでよかった」と言えるような郷土愛が生まれる、そのような文化度の高い明るい社会を目指しています。
向日比地踊り保存会
明神鼻の小屋実行委員会(主催者)
http://myoujin-coya.main.jp/index.html
観覧無料
明神鼻の小屋:イベント開催時のみオープンします。
明神鼻の小屋
玉野市向日比2-17
電話:090-5268-2349
email:6d796f756a696e62616e6140676d61696c2e636f6d
宇野駅から南西に徒歩140分
(車で約14分)
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