
しおさとまつり ~玉野の物語を語り継ぐ~
2020-01-13 (月)
玉野市東部の胸上地区にナイカイ塩業㈱という日本有数の製塩業の会社があります。そのルーツを辿ると「塩田王」と呼ばれた児島の野﨑武左衛門が山田・胸上地区に開発した東野﨑浜塩田にまで遡ります。
玉野市内で目に見える形で幾つもの製塩の遺跡や遺構などが残っているのは、今では山田・胸上地区だけです。でも、実は玉野では市内全域で入浜式や枝条架流下式塩田による製塩が営まれていました。
塩づくりについて学び、そこから玉野の歴史や文化・産業・人物などを学ぶうち、私たちは先人たちの思いに少しでも近づいてみたいと思うようになりました。製塩の町がどうやって今のような形の町に変遷していったのか、今年の「しおさとまつり」はそのような学びを形にしてみました。
「しおさとまつり」は、玉野の製塩にまつわる歴史・文化・産業・人物などを、狂言という日本古来の伝統芸能によって笑いながら学び笑いながら伝え、しおさと玉野の様々な物語を語り継いでいます。
時間 14:00開演(13:30開場)
番組
1. 古典「狐塚(キツネヅカ)」(約30分)
(粗筋) 秋も深まり、「狐塚」と称する田にも稲がたわわに実っている。群鳥に田を荒らされないよう、主人は太郎冠者に田の見張り番を命じる。太郎冠者は早速鳴子を用いて群鳥を追い払っているところへ・・・。夕暮れ時の広大な田畑に一人で居るのは寂しいもの。そんな人間の心理が思いも寄らぬ騒動へと。
(配役) 主人/田中宣史、 太郎冠者/脇坂和子、 次郎冠者/西村秀子
2. 古典「文山立(フミヤマダチ)」(約20分)
(粗筋) 二人の山賊が、狙った旅人を逃がしてしまったことから仲間割れし果し合いになるが、見物人のいないところで死ぬのは犬死にも同然、書置きをして死のうと争いを中止して、矢立を取り出して遺書を書く。一人が文言をいい一人がそれを書き記していくうち、内容が妻子の将来に及ぶと・・・。
(配役) 山賊甲/相澤恵子、 山賊乙/成瀬和惠
3. 古典「末広かり(スエヒロガリ)」(約30分)
(粗筋) ある果報者が、目上の人に「末広がり」を贈るため家来の太郎冠者に命じて、都へ買いに行かせる。初めて都に行くことに浮かれた太郎冠者は、「末広がり」とは一体何か、どこに売っているのかを聞かなかったことに気づいて困ってしまう。そこに都人が現れて「末広がり」を売ってくれるのだが・・・。
(配役) 果報者/小坂運子、 太郎冠者/成山佳子、 すっぱ/斉藤章夫
4. 新作狂言「しおさとのあけぼの(後編)」(約20分)
(粗筋) 玉・日比・利生の塩浜経営者・宮原秀一は、日比町長・高尾浩から玉の塩浜を三井物産に譲ってくれないかとの要請を受けた。その必要性を理解した秀一は、浜子らに玉の塩田を物産に譲ることを説明、浜子らもこれを受け入れた。20数年後、玉野市誕生の話に宇野と日比の住民や浜子らは・・・
(配役) 若・旦那(宮原秀一)/相澤恵子、 番頭/小坂運子、 浜子頭/斉藤章夫、 浜子壱/脇坂和子、
浜子弐/西村秀子、 手代甲/成山佳子、 手代乙/田中宣史、 手代丙/成瀬和惠
5. プロ狂言師出演番組「魚説経(ウオゼッキョウ)」(約20分)
(粗筋) 摂津の国の漁師が俄か出家となり、旅に出る。都へ上る途中、持仏堂を建てた男に会い、住持を要請されて男の所へ行く。そこで男に説経を頼まれる。よくわからない出家は、魚の名前を連ねてもっともらしく説経を始める。男が途中で気付いて咎めると、出家はなおも魚の名前で説経を続けるが・・・
(配役) 漁師/島田洋海、 男/田賀屋夙生
「しおさとのあけぼの(後編)」について
昨年と今年2年に亘って、しおさと玉野がどのようにして今の形になっていったのか、そのルーツを作ったともいうべき、宇野港土地㈱の創立者宮原秀一氏及びその父・豊氏親子の人物像や業績を採り上げ創作しました。
二人の生きた明治・大正時代、地域の発展や住民の生活向上に寄与しようとした二人の生き方や心情を推し量りつつ、しおさと玉野の発展の一端について学習、多くの市民の皆様としおさと玉野の歴史を共有しました。
昨年は(前編)として、父・豊氏の業績を採り上げましたが、今年は(後編)として、日本の国益を思い玉塩田を三井物産に譲渡し、日比町長及び日比町会議員として玉野市誕生にも功のあった息子・秀一氏に関する業績を採り上げ、しおさと玉野の誕生を狂言風に纏めました。
玉野しおさい狂言会
田賀屋夙生 島田洋海
https://www.facebook.com/tamanominartfest/
一般/前売り1,000(当日1,500)
学生(大学~中学)500円
小学生以下/無料
玉野市立荘内市民センター:日曜・祝日・年末年始
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