しおさとまつり~玉野公演
2021-03-14 (日)
時間 14:00~16:30(開場13:30)
会場 荘内市民センター2階ホール
プログラム
第1部 古典三題 二人大名、因幡堂、貰聟
「二人大名(フタリダイミョウ)」(約40分)
粗筋:二人の大名は天気の好さに誘われ供を連れずに出掛けます。大名は道中で供をさせようと通りかかった男に自分達の太刀を持って供をするように頼みます。男は断りますが大名に脅され慌てて従います。大名は男に太刀の持ち方を教え、男を太郎冠者と呼び供をさせるのですが・・・
出演:通りの者/成瀬和惠、大名/成山佳子、脇坂和子
「因幡堂(イナバドウ)」(約25分)
粗筋:大酒呑みの妻を持つ男が妻の留守中に離縁状を送りつけます。自由の身になったものの一人暮らしは不便だと新妻を得るために因幡堂の薬師へ妻乞いにやってきます。薬師のお告げを夢見に聞いた男は早速その出会いの場所へ行くと、そこに女性が一人立っていて・・・。
出演:夫/小坂運子、妻/田中宣史
「貰聟(モライムコ)」(約20分)
粗筋:大酒呑みの男が泥酔して帰宅すると呆れた妻に言いがかりをつけ酔った勢いで妻を家から追い出してしまいます。妻は子どもを残して実家へ身を寄せますが、翌朝酔いから醒めた男は前夜の出来事を後悔し妻は親元へ身を寄せているだろうと舅宅を訪ねるのですが・・・。
出演:聟/相澤恵子、舅/斉藤章夫、妻/西村秀子
第2部 新作狂言とプロ狂言師による古典狂言
新作狂言「御塩献上(オシオケンジョウ)」(約20分)
粗筋:伊予伯方が浜の浜子らが伊勢大神宮に御塩を献上に行く旅の道中、備前野崎が浜の浜子らと遭遇します。伯方と野﨑の浜子らは「袖触れ合うも他生の縁」と同道しますが、道すがら話をしていると両者が互いに「我々の塩こそ日本一」と喧嘩を始めます。そこに目代の仲裁が入るのですが・・・。
出演:野﨑浜の浜子甲/斉藤章夫、乙/成山佳子、丙/相澤恵子、伯方浜の浜子イ/成瀬和惠、ロ/脇坂和子、ハ/西村秀子、目代/小坂運子、玉爺/田中宣史、後見/広坂武昌
プロ狂言師による古典狂言「梟(フクロウ)」(約20分)
粗筋:とある兄弟の弟が山から戻ってくるとどうも様子がおかしく、「梟の精」に取り憑かれたようです。兄は色々と治療を施しますが中々効果がありません。そこで、山伏のもとを訪ねて弟の容体を診てもらうよう頼みます。すると山伏は勿体ぶって祈りますが、弟はますますおかしくなり、やがて兄までも鳴き声をあげて・・・
出演:法印(山伏)/田賀屋逸生、弟/島田洋海、兄/田辺大蔵
野﨑塩と伯方塩について
日本の塩は、かつてその大部分が瀬戸内海で生産されていました。代表的な生産地が児島&玉野の野崎塩と愛媛県今治の波止浜&伯方島の伯方塩でした。どちらも江戸時代から昭和30年代まで、入浜式塩田とそれに続く枝条架流下式による製塩が行われていました。昭和40年代に入るとイオン交換膜法が開発され、これまでの数十倍の生産効率と高品質の製塩が可能となり、玉野では山田・胸上にあるナイカイ塩業㈱の野崎塩だけが製塩事業者として生産を続け、今に至っています。
イオン交換膜法による製塩方法ですが、先ず大きなタンクに海水を入れ、プラスイオン(ナトリウムイオンやマグネシウムイオン)しか通さない膜とマイナスイオン(塩素イオン)しか通さない膜を交互に置きます。ここに電気を流すと塩素イオンとナトリウムイオンはそれぞれが逆の方向に移動し膜に止められます。すると、膜と膜との間に濃い塩水(かん水)ができる層と薄い塩水の層とに分かれます。濃い塩水のかん水を集め、煮詰めて(せんごう工程)塩を作ります。この製塩法では、純度の高い食塩を作ることができます。これににがりを入れて作った塩が味の素㈱から販売されている「瀬戸のほんじお」です。ミネラル分の入った、おにぎりなどに最適な塩です。
一方愛媛では、波止浜塩田・多喜浜塩田が造られ、現在の伯方塩業本社工場がある伯方島にも北浦浜塩田・瀬戸浜塩田・古江浜塩田の3つの塩田がありました。伯方島の3か所の海岸には広大な遠浅があり、塩田築造に最適だったことから、入浜式塩田が造られ1950年代に効率の良い枝条架流下式塩田に転換されました。その後、全国的にイオン交換膜法に切り替わった時、塩化ナトリウム99%以上の精製塩に不安を抱いた松山市在住の有志が自然塩存続運動を起こし、塩田塩の復活を願って伯方塩業㈱を設立しました。「伯方の塩」は、外国で造った天日塩田塩を輸入し日本の海水に溶かしてろ過した塩水を原料にして作られ、料理や調味料として広く使用されています。
ここで一つ、イオン交換膜法に対する誤った認識があるようですので、説明させていただきます。イオン交換膜法は学問的には「化学」というジャンルに属しますが、決して化学薬品を使ったものではなく、イオンの性質を利用した製塩法です。誤った認識でイオン交換膜の塩を不安視するのは、全くナンセンスです。イオン交換膜塩は有害物質を膜で遮断するため、より安全な塩なんです。
玉野しおさい狂言会は、玉野がしおづくりの里つまり“しおさと”であったことを、狂言という日本古来の伝統芸能を使い、笑いながら学び笑いながら伝える活動を行っています。2009(平成23)年、玉野市東部の山田地区から始まったこの活動は、笠岡市在住の大蔵流狂言師・田賀屋夙生師に指導を仰ぎ、練習を重ねて参りました。拙い演技ではありますが、最後までお寛ぎいただき、大いに笑っていただければ幸いです。
昨年2月以来新型コロナウイルスの影響を受け、県内においても多くのイベントが中止や延期を余儀なくされました。そこで、今回はできるだけ笑える物語となるような題材を選び、一日も早い疫病退散を願う新作狂言を楽しんでいただくこととしました。是非とも今年は、人々に災禍をもたらすコロナを笑いの力で退散させましょう。
大蔵流狂言師 田賀屋夙生師
笠岡市在住の狂言師。1980年四世茂山千作師(故人)、十三世茂山千五郎師(故人)に師事。1989年より「田賀屋狂言会」を主宰。岡山県芸術文化賞審査委員を務めるなど、岡山を中心に精力的に狂言普及活動を行い、海外でも高い評価を得ている。2009年より「玉野しおさい狂言会」を指導。
大蔵流狂言師 島田洋海師
田賀屋夙生師の次男。2002年十三世茂山千五郎師(故人)に入門、師事する。同年京都能楽養成会入会。修行中は日本一忙しい書生を自負し日々精進する。2009年4月京都能楽養成会を卒業し独立。2019年3月、極重習いの『釣狐』を拓く。現在京都を中心に活動しつつ、岡山周辺にも狂言普及のために活動の場を拡げている。
玉野しおさい狂言会
玉野がしおづくりの里つまり“しおさと”であったことを、狂言という日本古来の伝統芸能を使い、笑いながら学び笑いながら伝える活動を行っています。
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大人 1,500円
学生 500円(大学生~小学生)
乳幼児 無料
荘内市民センター:日曜・祝日・年末年始
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